また、収量の問題も大きい。
いくら味がよくても、1本の苗に5、6果しか実らない品種では、消費者が気軽に買える価格のトマトジュースはつくれない。
1缶100円程度で売るトマトジュースだから、つねにコストの問題を考える必要がある。
そのため、どのトマトジュース製造会社も、より多く収穫できる味のよいトマトをつくりだそうと、品種改良に大きな努力をはらっている。
夏の2ヵ月間だけつくるシーズンパックさて、味のもう1つの決め手は製造工程だ。
トマトジュースはこの製造工程のちがいによって、2つのタイプに分かれる。
企業秘密だから、あまりくわしくはお伝えできないが、わが社のトマトジュースづくりの基本的なところをかいつまんで説明しよう。
1つはシーズンパック。
フレッシュパックともいう。
これは日本の契約農家が栽培したトマトを破砕、加熱処理してそのまま缶に詰めたもの。
1つの缶に約3個ぶんのトマトが入っている。
これは昔からずっとつくられてきた伝統的なタイプだ。
加工用トマト3個で1缶のトマトジュースがつくられる。
リコピン量だと桃太郎などピンク系トマトの8~9個分に相当。
もう1つは、海外の産地で収穫したトマトを、現地で水分を抜いて濃縮、冷凍し、日本で還元するというつくり方。
逆浸透圧濃縮還元タイプと呼ばれる。
この逆浸透圧濃縮還元タイプが登場してからは、1年中、トマトジュースがつくれるようになった。
これら2つのタイプを組み合わせて、消費者に提供している。
まずは日本産トマトでつくるシーズンパックから説明しよう。
シーズンパックとは、盛夏の2ヵ月間に収穫されたトマトをしぼったものだ。
材料はトマト以外、なにも使っていない。
保存料や色素はもちろん、水さえ加えない(塩を加えたタイプはある)。
文字どおり期間限定で、使用するのは7、8月に収穫されたトマトだけ。
どんなに豊作の年でも、8月31日で打切りとなる。
それ以後に入荷するトマトは、ジュースには使わず、ピューレやケチャップの原料にする。
トマトがよく育つ気象条件は、乾燥していて朝と夜との寒暖差が大きく、かつ日照が強いことだ。
太陽がいっぱいで雨が少なく、空気がサラサラというところである。
トマトの原産地のペルー、原種を改良したメキシコ中央高原、イタリア半島南部、アメリカのカリフォルニア州、トルコ、中国の新疆などがそれにあたる。
日本では、夏に朝晩の温度差が少なく、連夜、熱帯夜が続いてムシムシするような土地はトマト栽培にあまり向かない。
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